独学でもピアノを弾きたい!
おうちでの練習のやり方がわからない!
という人のための、ピアニストから見た
楽曲解説&練習方法
前置き
この「月の光」を含むベルガマスク組曲というタイトルは、フランスの詩人ヴェルレーヌの詩集「艶なる宴」にある詩「月の光」の一節にちなんでいます。ドビュッシーの中では初期の作品に位置し、まだロマン派の影響を色濃く残している作品です。
曲は首尾一貫して8分の9であり複合拍子ですが、あまり拍感や音価に囚われすぎて厳格になってしまうと雰囲気が作れません。とはいえ、リズムを大雑把にしすぎるとバランスが崩れてしまうため、練習のし始めは必ず音価を正確にカウントしましょう。
冒頭
5、6小節などの右手は息の長いフレーズが続きます。保持音もあるため、途切れさせないよう運指の工夫が必要です。 15小節目以降はテンポ・ルバートの表記があります。ここは「より柔軟で自由なテンポ感で」という認識で良いでしょう。所々散在する2連符はかなりゆとりを持たせて弾きます。特に低音から高音部に手を移動する際は、焦らず響きを耳でしっかり聴く程度の余裕があっても問題ありません。
次第に盛り上がっていきますが(cresc. et animé)19〜22小節は毎小節フレーズの最後でそれぞれクールダウンさせると盛り上がりの雰囲気を持続させられます。少しずつテンポアップも行い、24小節目の3拍目当たりでブレーキをかけつつ音量を数段階落としましょう。

中間部
27小節目からアップテンポになるように感じますが、実は直前の一拍の速さとそんなにも変わっておらず、ほんの少し速くなったという程度です。ただ雰囲気はまるで変わりますから、26小節目までの音楽(ソルフェージュ的な)との整合性を図るよりかは、ここからのリズムの感じ方、フレーズの流れを改めて作り直すことが必要です。
多少の速度の緩急はあるべきですが、過剰なルバートはかえってこの場面での音楽の流れを阻害します。長いフレーズの境目ごとに軽いアゴーギグを加える程度でよいでしょう。
27小節→28小節などはほんの一瞬の間が必要です(類似の箇所も同様)。29~30は、右手は2小節で大きなフレーズのひと単位と思って弾くと、スケールを部分的に大きく保つことができます。33に関しては左手のアルペジオを終えた後、右手のメロディに多少強度の強いルバートをかけると3拍目の増和音が深みを増します。
37小節目より、より前に活き活きと進みます(En animant)。前回までは複合三拍子を一拍ずつ刻んでよかったのですが、ここからは3拍子の拍感(強-弱-弱)を以て弾くと、意識的に速度を速めなくとも自然に推進力を生みだすことができます。 41小節目の運指は、なるべくフレーズ感に途切れがないよう滑らかにしましょう。

後半部
この曲の冒頭の主題へと帰ってきました。右手のメロディは変わらず、左手伴奏部のアルペジオは淡々と弾かず、やや緩急をつけましょう。具体的には、各アルペジオの最低音である第1音から最高音の第6音にかけて徐々に速度を前倒しにしていきます。第1音はある程度テヌート気味にしっとりと響く音のタッチで。

59小節目左手ドに♭がつくハーモニーはコーダに向かう分岐点となります。コードとしてはドミナントの響きになるので、サッと通り過ぎず、やや深みのあるタッチで意味深に弾きましょう。
コーダ部で再びアルペジオのパッセージが出てきますが、中間部と対比して程よく緩やかなテンポ感で。最後までだんだんと速度を落としていきます。
2小節で1つの大きなフレージングとなっており、その中で自由なテンポルバートを行いましょう。フレーズ毎の合間はテンポ感を忘れ、大きなブレスを取るようにすれば雰囲気を作りやすくなります。
最終フレーズの左手アルペジオの上行の音価の違いは意識せず、テンポ感にグラデーションをかけるように遅くしていきます。最後の和声のアルペジオだけはあまりノロノロとせず、ハープのように美しい音でサラッと奏でます。(終)
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