第1主題〜第2主題(展開部)
再び第一主題に戻ってきますが、すぐに華やかな第二主題に戻ります。101小節目からのcresc. のプロセスは、常に強くしすぎると疲れてしまうので、フレーズの最後はかならずテンポを引きつけ、興奮をある程度押し殺しながら106小節目での歓喜の爆発のようなffに気持ちをもっていきます。

喜のようなffになりますが、あくまでロマンティックさを失わないように気をつけたい所です。左手は小節ごとに山なりのパッセージとなっています。初音のオクターブは重さと厚みのある打鍵で、2拍目より音型に沿ってディナーミクを常につけましょう。
それぞれの和音は極力叩きつけないように、運指に拘りつつフレーズ感をもって演奏します。右手の第2主題の長めの音価の和音は残響のある最中に左手にかき消されて仕舞わないよう、しっかりと両手のパワーバランスに気を付けてください。

ショパンらしい刺繍音や半音階的な経過音は少し勿体ぶって弾くことによって音楽性に艶を出せます。オクターブの音階は、3回あるうちの2回は躊躇わず一気に駆け抜け、最後の1回はたっぷりテンポを引き付けたあと、減七のアルペジオ下行をまくし立てるように弾き切ります。
続くパートは多種多様なテクニックが代わる代わる現れます。一気に遠そうとばかりせず、テクニックごとに細分化して構造を理解しながら練習しましょう。
- 124小節~:同じパターンのパッセージが連続するので比較的弾きやすい。拍を失ってテンポが乱れないよう細かくカウントしての練習が必要。
- 138小節~:拍子は8分の6のままだが、左手の躍動感がややワルツ風になるため、8分音符ずつ細かく1、2、3、2、2、3・・・とカウントすると弾きやすくなる。1→2拍目はワルツのように1拍目に少し時間をもたせると跳躍に余裕がでる。141小節目はへミオラ風に。
- 146小節~:リズミカルな左手に意識を移す。8分休符は少し長めに取り8分音符と4分音符は引き締めて。半音階は突っ込まずクレッシェンドをしつつ毎回ブレーキを。
- 150小節~:右手2拍目と3拍目、5拍目と6拍目にそれぞれ4分音符が内声として重なっていることがわかる。特に2,5拍目に一律テヌートをかけて重みをもたせるとテンポコントロールがかかりやすい。
- 154小節~:左手の同和音打鍵はトランペットのように。それぞれを打鍵後すぐに鍵盤から離し、なるべく手を上から自由落下させるように弾くと「つっかえ」感がなくなる。
- 158小節~:こちらもなるべく焦ることなく、拍感を維持しておきたい。162小節目からの下行音階は逆に拍を気にせず一気に駆け降りる方ショパンらしく、また次のパートへ推移しやすい。
以上をそれぞれ細かくかみ砕いて理解したら、各部を通してみて全体的な流れを組み立てていきましょう。
再び第2主題(推移部的)
左手のアルペジオにのって再度第二主題が現れます。左手は音程間が広いためオーソドックスな指の力をつかっただけの打鍵では速度があがった際に大変きつい思いをします。なるべく手首は柔軟に使い、音の上下行に合わせ左右にうまく稼働させながら弾きましょう。つい惰性で弾いてしまいがちな伴奏部ですが、一音一音曇りがないようにはっきりとしたアーティキュレーションを維持することで、テンポの安定感にもつながります。
頻出する右手の5連符は算数的な割り振りも大事ですが、その「ズレ」をうまくつかい味のあるルバートにしてみましょう。

180小節からも引き続き同様のテンポで比較的サクサクとすすんでいく個所です。テクニックの面では多少容易になることによって、速さが前のめりになりがちとなるので気を付けたいところです。右手のパッセージの8分音符は3連符とそうでない場合がありますので、違いをしっかり意識するためにも左右の手のタイミングがきちんと合っているか、練習の際速度を落として確認をしましょう。
190小節目からは次第に第一主題に回帰していくパッセージになっています。次第にテンポや音量を落としていくだけでなく、先ほどまでの一定のリズム感をテンポルバートによって崩していき、第一主題に推移する際に違和感のない雰囲気をつくっておきましょう。(次のページへ)
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